草を積極的に生やすことによる科学的メリット
「草を積極的に生やして土に還していると、土は次第に易分解性腐植が増えて地力がついてきます。易分解性腐植はチッソやミネラルなどの養分を貯め込みます。植物が養分を必要として、自分で根を伸ばしにいけば、その時に必要な分だけ放出します。」
この一文は、就農当初に読んだ「農家が教える自然農法」という本の中に書いてあった、農学博士の木嶋利男先生のコメントから抜粋したものです。
僕はこの一文に結構影響を受けていて、今でもこういうサイクルの中で回せるような農業を理想に描いています。
しかし、そういうものをイメージしながら10年進んできてみて思うことは、生産的な農業として考えた時の非現実性の高さです。
おそらく理にかなっている部分も多いであろうと今でも信じてはいますが、その一方で、やればやるほど、学ぼうとすればするほど、未だ産業の現場で実践的に活かせるような科学的知見ではないという現実を感じたりもします。
1家族が食べていくくらいの農業であれば、その非現実性は大した問題にはならないのですが、その先に行こうとした時のことを思うと、希望が湧いてくるような側面もある一方で、そこに虚無感すら感じることもあります。
「ツァラトゥストラはかく語りき」の超人になるための精神の3つの変化の中で言えば、今の僕は獅子の段階だと思います。
(自分の欲求や理想が常識や現実といったものに支配されていて前に進むことが困難で、新しい自由な価値を創造するために争っているというような段階)
いつか自己を超克できたら嬉しいものです。
今日の午前中は雨なので、育苗用の種まき仕事、ピーマンの移植作業をしています。
露地栽培をする上で、雨日をどう有効に使えるかで後々の結果が大きく変わってきますから、雨日の采配を意識することは結構大切なことのように思っています。