タネ生姜の保存方法(冬越し)
最近、続け様に「生姜の保存ってどうしてる??」という質問を受けましたので、今日は、我が家のタネ生姜の保存方法についての記事を書こうと思います。
生姜は、じゃがいもと同じ塊茎野菜(茎が肥大して塊となったもの)に分類されると言われていますが、「寒さに弱い」とか「乾燥に弱い」など、色々とデリケートな所があるので、同じ塊茎種でも、じゃがいものように容易には保存できません。
生姜をしっかりと保存できれば、お野菜の少なくなる冬~春の間中も出荷することが可能ですし、翌年のタネにも回せたりするので、「生姜の冬越し貯蔵はできれば成功させておきたい」と思う農家さんも多いのではないかと思います。(タネ生姜、買うと高いですしね)
物凄い量を専門で作られている生姜農家さんとかだと、温度や湿度をコントロールできる貯蔵庫のような設備を持っていたりしますが、年間50kgも育てていないような我が家のような小規模農家だと、そんなものを用意してもスペックオーバーですので、自然と手軽な方法で貯蔵を考えていくようになります。
では、具体的にどう手軽にしていくか??ということを考えた時に、まずは生姜の保存適性環境(温度10~13度前後、湿度70%~90%程度)をどうキープするか??を考えていく必要があります。
それらの条件を満たしてくれる、考えられる保存方法は色々あるとは思いますが、まずはうちの現在の貯蔵方法の手順(下記項目)をざっと紹介しますので、それらの項目に沿って、うちの貯蔵方法の詳しい説明をしていこうと思います。
と、ざっとになりまが、我が家の貯蔵手順は上記のような感じになります。
以下、項目別に分けて、順番に簡単な説明をいたしますね。
①収穫
※これは普通に掘り上げるだけです。
※土つきで貯蔵した方がもちが良いような気がするので、土はサッと落とす程度にして、あまり乾燥させないように気を付ける。
②茎を切る(もぐ)
※畑で一度霜に当てると、茎の根本から手で簡単にもげるようになるので、貯蔵分に関しては、いつも一霜当ててから収穫しています)
※根も切った方が良いということを言う人もいますが、正直、僕はどちらでも構わないと思います。余裕があれば切るに越したことはないでしょうが、無理に切らなくてもよいと思っています。
③発泡スチロールの箱に入れる
※なければ段ボールでも良いと思いますが、発泡スチロールの方がより良いかと。
※積み重ねて何段にもして入れる場合、段の間にもみ殻をサンドしてあげるとより良いと思います。(緩衝作用)
※「あまり生姜どうしが触れ合わない方が良い」とはよく言われますが、経験的に、僕は「まぁ触れ合っていてもそんなに大きな問題はないだろう」と感じています。
※よく新聞紙にくるんだ方が良いと言いますが、これに関しても、そんなことをしなくても大丈夫だろうと思っています。(うちは有無で比較しましたが、大した違いを感じられていないことから)(ただ、もみ殻を使わない場合は新聞紙で包んだ方が良いかと)
④入れ終えたらもみ殻をかぶせる
※生姜を重ね終えたら、最後にもみ殻を5〜10㎝くらい盛って、生姜を完全に埋もれさせる。
⑤箱に蓋をする
※蓋ができる箱であれば蓋をして、蓋がない場合は、段ボールを上に乗せたり、断熱シートやブルーシートみたいなもので覆っておく。
⑥毛布をかけておく
※寒い部屋でも冷えすぎないようにするためのものです。
※夜間のみで構わないとも思いますが、うちは日中もずっとかけっぱなしにしてます。
と、以上のようになりますが、用意するものをまとめると、
もみ殻
発泡スチロールの箱
ブルーシートor断熱シート
毛布
室内の保管場所
くらいでしょうか。
人によっては夜間はヒーターを使ったりして、自宅内に簡易貯蔵庫のような保存空間を作ってられたりもしますが、そんなことをせずとも、上記の簡易システムで十分保存が可能です。
また、農家の貯蔵方法に「畑に埋める」という方法もありますが、これに関しては、うちのように順次出荷していきたいという農家の場合、随時掘り起こしながらの出荷を考えると、少し手間に感じる方も多いのではないかと思います。
もちろん、貯蔵スペース的な都合で考えれば、物量がある場合は土に埋めてしまった方が圧倒的に良いと思いますし、「翌年のタネ生姜だけ貯蔵する」という場合でもおそらく同じことでしょう。
これも前回Blog(ネギの育苗)の話と一緒ですが、「何が最適か?」というのは、生産量や出荷サイクルによっても変わってくるものだろうと思います。
上記のようなうちの貯蔵方法が誰しもにとっての最適方法になることはないでしょうが、一つの実例としてご参考にしていただけたら幸いです。
■終わりに
色々とデリケートなことから、長期の貯蔵が難しいと言われる生姜ですが、意外と手軽に貯蔵することもできます。
うちは今回紹介した方法で、3年くらいタネ生姜を残し続けていますので、うちの地域(南関東)くらいの温暖な地域であれば、うちと同じような方法をとっても大丈夫なのではないかと思います。
うちの保管場所は、特別に日当たりが良い訳でもなく、日もほとんど入らない部屋ですので、温かい時間も少なく、夜は外気とほぼ変わらない冷えっぷりです。(最低1~2度くらいになります)
ということから、もし寒い地方で保管するのだとしても、日当たりが良く、気密性や断熱性の高いお部屋で保管するのであれば、うちと同じような方法で貯蔵できてしまうかもしれませんね。
僕の場合は、「タネ生姜を残したい」、「順次出荷をしたい」「都度土を掘って取り出すとかは面倒」、「温めるためにヒーターを付けっぱなしになんてしたくない」
というようなことを考えていった結果、現在の貯蔵方法に辿りついていますが、今後、生姜の生産量を増やすことになった場合は、「半分は埋めて貯蔵」などの選択をするかもしれません。
その辺りは、これから先も変わっていく可能性もありますが、現時点では、今回ご紹介した方法のみで貯蔵するのが、うちの生姜貯蔵の最適方法になります。
本記事が、「生姜の冬越し貯蔵をどうしようか??」 と悩まれている方の何かのご参考になれば幸いです。
※最後に、貯蔵中の管理のことですが、放っておくと傷口からカビてしまったりすることがありますので、1ヶ月に一回くらい見回りはします。
ただ、もみ殻があるとうまく水分の調整をしてくれるのか、ずっと放置していたとしても、そこまでカビが激しく広がったことがありません。
部分的に発生したものに関しては、取り除いて傷部だけカットし、少し天日で乾かして再貯蔵したりしています。