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産直ECに思うこと。



食べチョクやポケットマルシェなどの産直ECプラットフォームをどれくらい使用してますか??みたいなことを最近ちょいちょい聞かれます。


うちは産直ECサービスが出てくる前から直販型の販売をしていることもあって売上高に占める産直EC比率は約1〜2割くらいです。


こういうことをよく聞かれるようになったのも、産直ECサービスを使って販売している生産者やそこから購入しているユーザーが増えているからなのでしょう。


産直ECサービスは、生産者も利用者も手軽に利用できる良さがあると感じていますが、うちのような生産力やプロモーション力の低い農家が数字をガツンと伸ばせる場所として機能しているかといえばそうでもないような気がしています。


そう思う理由を簡単に説明します。


まず、参加者の増加に伴い、同じような商品やこだわりがズラリと並んでいますから、売る側としては競争が激しく、買う側としては選択肢が多い状態です。


そのようなマーケットでは、見せ方や売り方がうまかったり、生産物自体を安く沢山用意できる生産者が圧倒的に有利な市場になるように思います。


良い生産物が届けられるということは大前提として、その中でも注目やリーチを集められる人がより強いゲームになっているという意味です。


楽天やアマゾンで物を買う時に、無数の作り手や販売業者の中から商品を探さなければならないことは多いように思いますが、同じような商品なのであれば、売り手の細かいこだわりよりも、レビュー、価格、表示順など、他者評価や価格の低さで購入を決定する人は少なくないように思います。


私には、そのようなこととあまり変わらない現象が産直ECサービス内でも起きているように見えています。


もちろん、多くの農家にスポットがあたる場所にしようと運営側が工夫を凝らしていることは理解しています。


しかし、私の周りでも、産直ECサービスの注文数が減ってきたという農家は少なくありません。


私自身の経験からいっても、野菜セットの定期購入の継続率が低いことは明らかです。(産直EC外の注文と比較して)


良い悪いは抜きにして、手軽に利用できて選択肢が多いというのは、そういうことなのだろうと思っています。


(選択肢が多いので、購入する側もお気に入りの生産者を探すのが大変でしょうし、様々な農家を試したくなるという気持ちも分かりますしね)


もちろん、私の利用方法が下手なだけで、上手く利用できている人も多いと思います。

また、産直ECの仕組み自体は素晴らしいとも思っています。


ただ、他者と比較されることが前提となっている市場で、うちのようなニッチなこだわりを持った生産力の低い農家が積極的に仕掛ける場所ではないように思っているというのは前述の理由の通りです。


供給力の低いニッチなこだわりは、多くの人が参加する場所での競争には向いていないのです。


「ニッチだからこそ、他者と差が付けられるのでは??」みたいなことを言う人もいますが、競争を前提とした差別化や個性なんてものは、余程強烈かつ他者を寄せ付けない圧倒的な強さでもない限り、提示すれば提示するだけ空回りする要因を作り出してしまうように思います。


競争するつもりがなくても自動的に競争が生まれてしまうような枠組みの中で生きていくのは自分にとってもあまり気の進むことではないですし、そういうものを避けたくて今の直販型農業を選んだ立場からすれば、なるべくそういう土俵で勝負する回数は抑えたい所です。


雑魚は磯辺で、鯨は沖で


生き物にはそれぞれにふさわしい生存領域があります。それは商売でも同じことなのだろうと思います。


※大根、寒さで美味しくなってきました。

ジューシーで甘旨です。




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■人の力と少しの道具で成り立つ、シンプル&ミニマムな農業をモットーに、農園を営んでおります。

当Blogの主な内容は、「久保寺農園の少量多品目野菜栽培記」や「生業としての不耕起、浅耕起型農業の実践記 & その栽培方法と考え方」になります。
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