環境保全型農業の指針を考える
以下は、農水省が掲げる環境保全型農業の指針です。
■有機物資源の堆肥化とその利用による土づくりの促進。
■土壌・作物診断等に基づく適正な施肥による肥料成分の効率的な利用と溶脱防止。
■適地は限定的されるが不耕起栽培の実施。
■多毛作及び輪作の推進。
■土壌改良資材の施用。
■水田からの濁水流出防止。
この指針には、土壌の機能を高め、生産性を向上させ、生産コストを削減するという狙いがあります。
また、炭素貯留や適切な施肥による温室効果ガスの削減という目的も含んでいます。
廃棄された有機物や作物残渣などを堆肥化し、土壌で再利用することもそうですが、養分や土壌を消耗させないような管理、耕起方法を考えることは、環境保全型農業を考える上での大切なテーマとなっている訳です。
有機農家に限らず、多くの人がこのテーマについて考え、課題解決に向けての試行錯誤をしています。
個人的な思いとしては、緑肥技術や下水汚泥の養分回収技術同様、資源の肥料化の研究や有機物の再利用化技術の発展には期待を寄せています。
ただ、その一方で、「資源を回収し、畑に有機物を入れ、土壌の炭素ストックさえ増やせば持続可能で環境に優しい農業になる」ということが決まっている訳ではないと思っています。
そんなに単純な話じゃないだろう、と思うからです。
また、ローザムステッド農業試験場の有機物連用試験結果や農水省の報告書で示されている通り
「長年土壌に炭素を貯留し続けることはできず、長期的には二酸化炭素放出量をかえって増加させる可能性もある」
というような、研究結果からの考察が存在することも含めて、「環境保全型農業の最良とは何か?」を自分なりに考えたいと思っています。
「これだ!!」と確信できるものがいつまでたっても見つかりませんけれど......。
禅宗の祖、達磨禅師の言葉で
「理性を持って分別したり計らったり比較したりして物事を自分の頭で受け取るのは、どれも夢まぼろしのようなものである。頭の関与をさせず、そういう計らいを一切去って物事を受け取ることが出来たとき、それを本当の認識というのだ」(訳 泉谷閑示)
というような言葉がありますが、僕は理性的に確信を求めすぎるがばかりに、いつまでも確信にたどり着けないのかもしれません。
※写真は本記事と全く関係ありませんが、ネギがよく採れているので、最近、ネギばかり食べています。寒い時期はやっぱネギラーメンが旨いっス。