冬の畑の生き物たち
(分かりづらいですが、写真はクモの仕掛けたトラップにかかっているハクサイダニ(右下の赤い足のやつ)の写真です。)
今日は冬の野菜にちょっかいを出してくる畑の生き物のお話です。
冬は基本的に生存している生き物が少ないので野菜に加害する生物自体も少ないですが、冬期に活動期を迎え、野菜を狙ってやってくる生物もいますので「冬だからひと安心」という訳にはいきません。
小さなものだと、ハクサイダニ や ヤサイゾウムシ幼虫、大きなものだとヒヨドリなどが代表的な生き物でしょう。
ヒヨドリは事前にネットなどを張っておけば簡単に防除できますが、ハクサイダニやヤサイゾウムシ幼虫などの極小の生物が繁殖してしまうと、天敵も少ない冬期ということもあり、手の施しようがないくらいに厳しい状態になってしまうこともあります。
うちは、就農して2年目くらいの冬に、ハクサイダニが爆発的に発生してしまい壊滅的な被害にあってしまったことがありますが、その後、太陽光消毒などの特別な防除手段をとらずとも、年々、ハクサイダニの個体数は確実に少なくなってきています。
何が影響してそうなっているのかはよく分かりませんが、先月、興味深いものを畑で見ることができました。
先月初旬頃、「ハクサイダニが今年は久しぶりに結構発生しているかも!!」というくらいに、レタスやハクサイに発生していましたが、それもすぐに気にならなくなるくらいに、いつの間にか個体数が激減していました。
「どこへ??」と思って、少し時間をとってよくよく観察してみると、こんな寒い時期にも関わらず、日中に畝上を動いているクモを数匹発見しました。(クモって冬動かないと思ってたので、驚きました)
また、写真のようなクモの巣もあちらこちらに張られているのも発見しました。
クモが冬に活動していること自体驚きですが、蜘蛛の巣まで張れちゃったりするんですね。
「おそらく、このクモたちがハクサイダニを食べてくれてるのだろうなー」と推測すると同時に、なんだかちょっとした宝物を発見したような気持ちになり、とても喜ばしい気分になりました。
もちろんその他にも激減の要因は数多くあるのでしょうが、クモたちの存在もとても大きな要因の一つなのではないかと考えています。
自然生態系の謎や仕組みについては本当に興味が尽きません。
今回紹介させてもらった、「就農2年目のハクサイダニの大発生から現在に至るまでの話」のように、時間をかけて自然環境と向き合うことで見えてくることも沢山あるのだと思います。
現代は世界的に見れば人口増加時代ですので、効率よく食料を生産する技術の更なる発展もとても重要なものだと思いますが、生態系の神秘の世界を急激にかく乱してしまうような手法をとらないように努め、自然の仕組みや調整力を信じ、長期的なスパンで時間や労力を投資できるような農業の未来も同時に発展していけるといいなと思っています。