コマユバチの蛹
最近、コマユバチの蛹を至る所で見かけます。(写真は玉ねぎについているものです)
コマユバチといえば、モンシロチョウの幼虫(アオムシ)に寄生する ”アオムシサムライコマユバチ” が野菜農家目線では代表的な存在ですが、コマユバチは日本だけでも300種類以上が分布していると言われていて、その全ての種が鱗翅目(チョウやガ)の幼虫に寄生するハチだと言われています。
その中には、ヨトウムシ類、ヤガ系の幼虫に寄生する種類もいるだとか。
僕には繭をみただけではどの種の蜂かの区別はできませんが、この繭条になった蛹を畑で発見すると、畑の生き物が適当にバランスしているような気がして、なんだか嬉しい気持ちになります。
写真のものは、周りの環境から推測すると、おそらくアオムシサムライコマユバチの蛹だと思います。
なぜかというと、この繭の近くの玉ねぎ株にモンシロチョウの蛹が沢山ついていたからです。
アオムシって蛹になる手前で安全なところを求めて旅に出る習性があるからなのか、蛹自体はアブラナ科畝以外の所で見かけることが結構多かったりしますので、今年はかなりのアオムシたちが玉ねぎ畝を安全地帯設定し、移動したのだろうと考えています
ですので、写真の繭は、その旅の途中に寄生蜂に食い破られてしまったアオムシの犠牲跡なのだろうな…と思っています。
「うまく安全圏に移動したと思っても、そこが必ずしも安全圏だとは限らない」ということは人の社会も小さな虫の世界も同じですね。
小さな世界の謎やドラマのことを考えている時間はいつだって楽しくて仕方がありませんし、学びが詰まっています。
※モンシロチョウの幼虫ってキャベツやアブラナ科の野菜が大好きな生物ですが、絶滅しないためのリスクヘッジで、成虫がアブラナ科の野菜以外の植物にも卵を産むこともあるようです。
その中には、アオムシにとって大して美味しくないものや毒性が強い植物もあると言われています。
それを考えた上で、玉ねぎ畝のモンシロ蛹を見たりすると、「蛹になるまでのプロセスで玉ねぎを食べて育ったアオムシだったのか??」などと考えてもしまいますが、まぁ流石にそんなことはないでしょうね(笑)
また、モンシロ蛹が沢山ついていた玉ねぎ畝は、キャベツ畝の隣の玉ねぎ畝だったこともあり、前述した「玉ねぎ畝の安全地帯設定による移動」が最も納得がいきます。
どの生物も生き残っていくためにあれこれと工夫をしていることを思うと、畑の生き物たちが一層尊くなります。